友達へ
かのひとは 歌ではなくかのひとは 空ではなくかのひとは 土ではなくかのひとは 水ではなくかのひとは 風ではなくかのひとは 花ではなくかのひとは 森ではなくかのひとは 町ではなくかのひとは 光ではなくかのひとは 時ではなく…
かのひとは 歌ではなくかのひとは 空ではなくかのひとは 土ではなくかのひとは 水ではなくかのひとは 風ではなくかのひとは 花ではなくかのひとは 森ではなくかのひとは 町ではなくかのひとは 光ではなくかのひとは 時ではなく…
われわれはばらばらである あなたにあいさつを送る あなたの幸福を願う 死んでしまう のではなく 生きている ことのありさまが変わって わからなくなる。しかも もとからそうであったことだけは 疑いようがなく分かってしまう …
君はそこにあった まだ、どうかすると 雪なんか降ったかもしれない頃、春 君はここにある。今 聞こえてくる水音。 夜が静かに春を震わせて 少しずつ境界を溶かしている 窓を開けているからよくわかる 今日 おれは君をうたう 君…
怒りで 張り裂けないものに、 興味は ない。
信じられない、もう終わるのよ。もうすぐ七十歳になるそのひとが、相変わらずからっとした声で言った。 せまい事務机の上で請求書だか領収書だかの小さな束を揃えながらそのひとはまた、こんなことにまきこまれてさ!気がついたら子ども…