農道を行く晴れてゐる雲が尖つてゐる

頑丈な自転車に乗つてゐる用もない私

前から来る景色緑みどり私は虫のよう

空を掃く風に残る雲の筋ゆつくり溶け

昼の眼は夜へ逃げ込んで波を見てゐる

虫のよう虫のようもし虫になれたなら

(何も知らないだらう、知らないという事も)